●秒速5センチメートル
渋谷シネマライズで見てきました。
友人から誘われたので久々に渋谷に。なんつーかちょっと歩いただけで疲れる街だ・・・。
時間つぶしに寄ったアップルストアがこしゃくなくらいかっこいい感じでした。
アップル製品は絶対半分くらい「かっこいい料金」が加算されてるよな・・・。
とかいいつつシネマライズに。満員です。さすが新海誠作品。
感想としては、見る価値はあると思います。
とにかく絵が綺麗。画面に登場するもの全てが絵として均等に愛情を注がれているような印象でした。
TVアニメってどうしてもキャラと背景が分離しがちで、わりとそういうものとしてみんな見てる(ジブリとか東映のとかもキャラ=セルで背景=水彩だったりとかが多いですよね)んですが、この映画の画面は、背景もキャラクター並に動くし、キャラクターも背景と違和感無く溶け込んでる、画面として統一感があって、しかも高いレベルで安定しているのが非常によい。
背景もキャラクターもきちんと動いて綺麗で違和感が無い。特に空の描写、電車、海、一つ一つの風景が、背景という以上の存在感を出してます。すげ~な~、と思いつつ見ておりました。
あと、画面に独特の透明感があるんですね。色の選び方だと思うんですけど、とにかく画面を見ているだけで心地よい、というのは凄いなあ、と思いました。
で、まあ正直絵のことしか言って無い訳ですが、話は個人的にはいまいち、いや、いまふたつくらいかなあ、と感じました。これは好みもあるとは思うんですけど、自分はそんなに話には乗り切れなかった、という感じです。
でも、この絵をつくってしまう彼らは凄いし、労力も想像するにかなりのものだろうなあ、と、そこには感動しました。あんたらスゲーよ、脱帽です。
というわけで見てよかった、と思います。
しかしそれで終わるのもちょっとなんかスッキリしない感じです。
んでもってネタバレ感想を追記に書きます。
ちょっと辛口ですが・・・。
すでに見た人、広い心で読んでください。
というわけで、何故話に乗り切れなかったか、というと、見も蓋もなく言ってしまうと主人公二人にほとんど思い入れられなかったから、ということになります。この二人が何を考えてたのか、結局どうしたかったのか、そもそもどういう性格なのかがほぼ伝わって来なかった。
あらすじとかは改めて書きませんが、この話って要は
一話:貴樹と明里の子供の頃のエピソード
ニ話:貴樹に恋する女の子のエピソード
三話:貴樹と明里の成人後のエピソード
なんですが、結局貴樹と明里、主人公二人の関係性がかなり薄いんですよね。小学校の時仲良くて、中学校の時に転向、で、一回会いに行ってキス、で、たまに文通したまま互いに他の人と付き合ったりなんかして明里が結婚して終わり。途中つきあってた時期があったわけでもなさそうだし、なんつーか正直、貴樹の中でそこまで引っ張るほどのことなのか、と思ってしまうわけです。
そういう理由で、最後のシーン、貴樹が明里(らしきひと)を踏み切りで待ってて、電車がいなくなったとき。「待っててくれ~」って思うことがちょっと出来なかった。
関係性が薄かったにしても、自分が貴樹に感情移入できてれば「待っててくれ」と思えたはずなんですが、それが出来なかった大きな理由としては、貴樹がいつ明里と線を引いてしまったか(他に彼女作ってるし)、何故会いにいけなかったのか、それに、会っても付き合ってもいないのに(会う事も付き合うことも出来たと思われるのに)何で心の中に明里をおいて(わりとメインのところに)いたのかっていうのが全体的に、いまいちわからなかったからだと思います。
一話で「ずっと二人一緒にいられない」ことから大きな壁を感じたとしても、中学から高校、大学と行くにつれ、その壁は大分下がっているはずだし、自分の意思で乗り越えられるようなものになっているはず。
そもそも携帯持ってるわけだし、今の日本でそういう状況で遠距離恋愛してる人はいくらでもいるわけで。
明里にしても、結局今の人と結婚しようとした理由もよくわからないし、そもそもキスしてから貴樹をどう思ってたかもいまいちわからない。報告しようとしてるから気にはしてるんでしょうが、心の中にいつも貴樹がいて、迎えに来て欲しいと思っている、という風でもない。
要は、二人がどう思って互いに文通だけの関係になっていって、分かれていったのか。その時どう思ったか、そもそも二人はどういう性格で、どういうことがあって成長していったのか。そこらへんの描写がスコーンと抜けてるんですよね。やっぱり、貴樹と明里の中学、高校時代、文通の中身、そういう描写をもっとボリュームを増やして付け加えて欲しかった。
だから、結局子供の頃キスはしたけどお互い遠くに住んでるんで自然消滅、っていう関係にしか見えない。一話の時、子供の頃の心理描写はきっちりなされているんだけど、それ以降が全くないまま結論にいってしまってるので、見る側にしては他人事のまま最後までいってしまってるんですよね。それが残念なところです。主役二人の描写が決定的に足りない。だから見てる側を「もっていって」くれない。自分にとって「秒速5センチメートル」は、そういう作品でした。
個別に見れば、一話、二話、三話、それぞれ見所は多いと思うし、好きな部分もたくさんあります。
一話、親の都合で転校した時の電話のくだり、会いに行ったけど電車が止まって焦燥する場面は子供らしさがあって良かったし、キスシーンも綺麗で、若い二人の切ない恋愛っていいなあ、と思えました。
二話にしても、サーフィン少女の花苗が貴樹に恋する気持ちは凄い描写してあって、花苗の性格とかも伝わってきて、花苗に対しては「がんばれ」って思えるんですが、貴樹に関しては、携帯メールの相手がいないってのもよくわかんないし、ロケットに憧れたりするのもなんかちょっと唐突だったり。完全に主役が花苗なんで、貴樹の性格描写をして厚みを持たせる役目を果たしてない。
しかし、花苗は魅力的に描かれてました。貴樹を「出待ち」したり、サーフィンにうちこんで「波に乗れたら告白」とか勝手に決めてみたり、告白しようとした時にだけ、行きつけのコンビニで貴樹とおんなじコーヒー牛乳を頼むあたりがちょっと心掴まれました。この子が主役だったらいいのに。とさえ思いました。
三話も、山崎まさよしの歌にのせて、ストーリーダイジェストが流れる場面は美しかったし、歌の盛り上がりとシーンのカットが重なっていくところはかなりの快感でした。「DVD買うよ!」と思わせるほどのものがありました。
ただやっぱり三話そろって一つの話になった時に「話になりきれていない」というのが惜しい感じでした。
主役の二人が「なんとなく」くっつかなかっただけの話をすごくかっこよく見せられた、というか・・・。
でもまあ、DVD出たら買います。もう一回劇場で見てもいいくらいの気持ちではいます。
もういっそ花苗の「熱血サーフィンラブコメストーリー」だったらもっと良かったんじゃないだろうか。